『アメリカの巨大軍需産業』を読んで

『アメリカの巨大軍需産業』を読んで

『アメリカの巨大軍需産業』(広瀬隆著/集英社新書)を読んだ感想を備忘録として記載します。

 

まず、本題に入る前に触れておきたいのですが、現在日本の上空を飛んで話題になっているのはオスプレイであり、現代のアメリカ軍需産業の代表です。
このアメリカの軍需産業の歴史を辿ると、南北戦争時代のライフル銃や拳銃から始まり、戦車、戦闘機、核兵器にまで発達していったのです。

 

特筆すべきは、16頁のこの一文です。「紛争地では、異なる部族と部族、異なる民族と民族が戦っているように見えるが、アメリカ製ライフルや機関銃が、旧ソ連やその他の先進国の銃砲と対決しているのが実態であった。」また20頁には次のように記載されています。「世界には難民があふれている。原因は地域紛争にある。そこには洪水のように鉄砲と弾丸が供給されてきた。どこからか。アメリカとヨーロッパの先進国からである。…人道支援をおこなう輸送機も、同じ軍需メーカーの製品だ。」

 

世界を牽引するIT業界でも同じことです。49頁にはIBMやインテルといった有名企業について、ペンタゴン利権産業の「軍需産業」と「平和産業」とに大きく二分されていたのです。

 

軍需産業の成長は止まらない。56頁にはジェット戦闘機の極秘開発計画が進行され、当該飛行機が完成した際の性能テストは、実際の戦場であったという。それが50年代の朝鮮戦争だったのです。軍需産業のために戦争が作られ、また戦争のために新たな武器が開発され、戦争は悪循環しか生まない。一部の利権のために、こんな悪のサイクルが故意に作られるのは人道に悖る話です。

 

また、驚きだったことは、アメリカ議会の政党のギャップでした。

 

たとえば、共和党と言えば、ブッシュジュニア元大統領に代表されるように保守的な党であり、一方民主党はオバマ大統領に見られるようなリベラルな党だというイメージがありましたが、実は逆だったということ。つまりは共和党のリンカーン元大統領は南北戦争で奴隷解放を謳ったように、本来共和党がリベラルであって、民主党のクリントン元大統領に代表されるように、民主党は保守的な党だったのです。さらに、イラク戦争に踏み切ったブッシュジュニア元大統領は最終の世論では厭戦ムードの国民から支持されず、悪代官のようなイメージが定着してしまいましたが、実はブッシュ政権発足時点では、日本に駐留しているアメリカ兵の縮小を唱えていたということです。具体的には、アメリカ国内の防衛に特化するという意図があるのですが、今の沖縄に駐留する米海兵隊の在り様を思うと、日本国民にとっては大きな事実です。
戦争で得するのは軍需産業の世界だけであり、多くの一般市民及び戦場の兵士たちが甚大な被害を蒙るのです。

 

目先の利益よりも、たとえ時間がかかっても、長い目で見れば平和産業を育成することの方が最も需要があり、崇高な事だと思いました。